ショックなネット記事があった。
23年前に日本経済新聞の連載から単行本化されベストセラーとなった「2020年からの警鐘~日本が消える」。23年前に当時の人々が想像した「暗い未来予測」がそのまま(それ以上)現実化しているという。
<23年前の予測=1990年には世界のGDP総額に占める日本の割合が13.9%であったのが、このまま「構造改革が進まずに現状を放置」した場合には2020年には9.6%になり、世界経済の土俵から「日本が消える」>
ところが実際に2020年を迎えてみたら9.6%どころか5.9%まで落ちている。23年前の人々の感覚からすれば、日本経済は「消える」どころか「なくなっている」に等しいわけだ。更に人口減と競争力喪失により2050年には2%になるという予測も出ているという。
この日本経済の衰退は、上る途中である「発展途上国」ではなく、下りの途中である「衰退途上国」だとこの記事は言っている。
「戻った」のであれば、再び浮き上がれる、という希望もあるが、「進んだ」と言われては、先を閉ざされたようで悲壮感に包まれてしまった。
だが、私は違う考えを持っている。これはあくまでも経済の話で、しかも世界と日本の関係に過ぎない。世界の中から「経済的に」日本が消えてしまうのは「困った」ことなのだろうか?考えてみれば、世界に約200もある国、総人口77億と言われる中で、たった1億3千万足らずの小国が、世界の総生産の14%近くも占めていたことのほうが奇跡であろう。もちろん「日本人の叡智と勤勉さによる生産力」が世界に誇るものであることは疑いない。しかし、その生産力を根底で支えていたものはなんだろうか?・・・島国で単一民族の日本。完膚なきまでに叩きのめされた戦争から、奇跡的に復活・発展した日本人の力の源・・・それは紛うことなく、何千年もの間日本人の心と生活に根付いている「魂と文化」である。
人口や国土・環境の変化により、経済というものは何かの力によりバランスを取られていく。2020年を迎えた今、経済の衰退を云々言うのではなく、いままで我々を作り上げてきた「日本人の魂=日本文化」の伝承こそが最も大切なものと考えたい。日本人がこれを忘れてしまったとき、「日本」は本当に亡くなってしまうのである。政治や経済を他人事として文句を言うよりも、自分の歴史に感謝し、今の足元をしっかりと見直し、日本人であることを誇り、後世に何を遺すかを一人づつが考えたいものだ。本当に大切なものは、目に見えないものだから・・・