【一生モンの通学みち】2,408日目のつぼやき

桜が咲き、チューリップが歌い、ツツジが群れ、蝶が舞う。夏グミの実を食べながら、彼方に入道雲が光る。ヘビやトカゲが横切り、蝉の声が降る。昼寝をするとヒグラシの声と夕げの気配で目覚める。蛍が舞う夏の、天の川が流れる夜、父母と鎮守の祭りにワクワクと歩く。台風が去ってスッキリと掃除された紺碧の空。父母が稲刈りをする田の畔に寝ころび、高く真っ青な空を背景に群れ飛ぶ赤とんぼを眺める。あけびと山ぶどうが取れる秘密の隠れ家。紅葉が彩る山を背に、オレンジの柿の実を取って喰う。木枯らしが吹き、枯れ葉がつむじを巻く。静寂の音で目覚める初雪の朝。遥かな山の峰々までキンと透き通った正月の朝。鼻毛もツンツンと痛い厳冬のダイヤモンドダストのキラキラ。緩み始めた雪が凍り付いた朝、凍み渡りで遥かな山の頂上まで長靴のまま駆け上った日曜の朝。雪に埋もれて黙っていた小川のせせらぎが囁きはじめ、水仙が咲き、フキノトウが顔を出しはじめる。やがてツクシん坊がぴょこんとこんにちは。田んぼには融雪の灰が撒かれ、白い季節が終わる。
これが私の原風景。そんな四季の道を、友と学校に通った。子らの通学路が汚れていてはならない。邪鬼によって踏みにじられてはならない。だから、今日もゴミを拾い、子らや町の大人に「おはよう」を言う。