【この花が見えますか?働かなくても毎月お金が貰えるなら・・・】「ベーシックインカム」、「日本ライフポイント制度」の夢を見た。
コロナ施策で全国民に一人10万円が支給された。人口を1億2千万人とすると、総額12兆円となる。国はこれを組み込んだ25兆円を超える補正予算を組み上げて執行している。
仮に、これが毎月支給されたら・・・12兆円×12カ月=144兆円となる。そもそも近年の国家予算は、一般会計と特別会計の合計で約200兆円を超える予算を執行している。しかし、当たり前に考えれば、もしこれで国民が稼がなくなったら、どうやってお金を得るのか?となる。
ベーシックインカム(BI)という考え方がある。基本所得制、最低生活保障、国民配当などとも呼ばれ、世界各国で議論され、実験を行った国(フィンランド)もある。何もしなくても、毎月、国民全員に一定金額が支給されるという制度だ。働かなくてもお金が貰える・・・夢のような?制度が、現実味を帯びているのだ。まさか・・・そんな詐欺みたいな話があるはずがない、と考えるかもしれないが、現実の話だ。
フィンランドの実験参加者(失業者2,000人)へのインタビューでは「BIで気持ちは軽くなり、自由になれる。自由になれると人はより生産的になれる。好きなことに集中できる」と話している。実験結果の分析によると「BIを受けていても、家でただ座っているのではなく、政府の雇用支援策を利用して自分の状況を改善しようとしている。実験でわかったのは、人間は怠け者ではないということと、雇用に関わる行政サービスが役に立っているということだ」ということらしい。
これは外国の実験であり、日本がどうかは分からない。だがはっきりしているのは、本来お金は、物々交換をしていた時代に、間を取り持つために生まれたものである、ということ。つまり、農業者が作った米と、漁業者が獲った魚を、「共通の価値を持ったもの=お金」を媒介して流通(循環)させる為のもの、なのだ。元を辿れば、自分では作れないもの、を、自分で作ったものと交換したい。その間にあるのが、たまたま「お金」と呼ばれているだけなのだ。
こう考えると、お金が全て、お金を貯めなくては、お金持ちになりたい、などと考えて生きている人間は、交換するものを何も作り出せない(獲れない)人間、ということになる。
しかし飽くなき人間の欲望によって、お金を中心に科学や経済が膨張し、様々なものがお金によって手に入るようになると、資源獲得のために戦争という殺し合いまでし、今ではまるで「お金を稼ぐこと=生きること」のようになっている。
そんなお金の本来の役割からすれば、何もしなくても一定のお金が配られ、それで最低限の暮らしができれば十分、ということにならないだろうか。働かずに最低限の暮らしが保証され、プラスアルファ(=欲望の赴くままの贅沢)が欲しければ「働いて稼ぐ」でいいのではないだろうか。
しかし、なにもしなくても国から最低限の暮らしを保証されるといっても、お米を作る者、魚を獲るもの、それを流通させる者がいなければ仕方がない。そこで私が考えたのが「日本ライフポイント」である。国民一人一人の「働き」によって「ライフポイント」なるものが付与され、そのポイントで様々な物を購入(交換)するのである。お米を作るポイント、魚を獲るポイント、機械を作るポイント、サービスをするポイント・・・・。そして大事なのは「ボランティアのポイント」である。個人間でも自由にやり取りでき、社会に貢献する様々な活動に対して与えられるポイントである。
どうだろう。衣食住について、働かなくても国から保証され、それ以上の付加価値のついた暮らしについては、お金ではなく「ライフポイント」の交換によって実現する社会。海外からの借金がなく、国内の経済だけで考えるならば夢でもないだろう。
ただし、これは共産、社会主義と言われる社会制度と混同されそうだ。権力が独占、暴走しないように、高度な「民主主義」に基づいた国民主体の自主統治が大前提となるのは言うまでもない。
最後に、これが実現すれば一時的に国際競争力は低下するだろう。しかし「他と競争しない、真の人間らしい生き方」が実現する。際限のない欲望に支配され、それに伴い取り返しのつかない状態に向かいつつある地球環境を未来に繋ぐため、日本が世界のリーダーとなることは間違いないだろう。
・・・そして日本人には、その底力が、まだ、備わっている。コロナに揺れる日本だが、足元には一輪の花。急いた心や車で通りすぎていては、決して見えない花がそっと咲いている。