お店などの軒先にあるツバメの巣を毎日通りすがりに観察しているが、今年初めて気づいたことがある。当たり前といえば当たり前なのだが・・・前日まで、親が餌をせっせと運んでいたのが、一羽、また一羽と巣立って、ついには一羽も巣にいなくなった・・・と思っていたのが、実は、巣立ってもかなりの期間、自分の生まれた巣に行ったり来たりしていることが分かった。もちろん、もう親は餌を運んで来てくれはしないし、親が近くにいるとしてもどれが親か見分けもつかない。それでも、ときどき生まれ育った巣に戻り、少し休んではどこかに飛び出す・・・を繰り返しているようだ。一度空になった巣に、ときどき、まるで親や兄弟のぬくもりを思い出そうとでもしているように、うずくまっているツバメを目にする。こうやって、自分の生まれた巣の位置を憶え、日本以外で冬を越し、また故郷の巣に戻ってくるのだろう。「帰巣本能」という言葉は知っているが、本能だけでは、この広い世界で、日本のピンポイントに戻ってこれるはずがない。飛ぶ訓練をし、餌を捕ることを憶え、さらには親や兄弟のぬくもりを頭に憶えこみ、帰る場所をしっかりと身体に叩き込む。そしていよいよ独り立ちしていく・・。なんだか、人間より人間的な気さえしますネ。