【カスハラ=カスタマーハラスメント】通販であちこち注文しては、気に入ったものだけ残して(ときには使ってから)大量に返品する【モンスター返品者】なんていう言葉もあるらしい。居酒屋や(通販を含めた)小売り、サービス業を始めとする「接客業」で、「お客様」からの執拗な嫌がらせが大きな問題になっているらしい。
日本はサービス過剰だから、お客が甘えてつけあがる、なんていう意見もある・・・
お客様は神様です、なんていうフレーズが流行ったことがあった。神様とは思わないが、なんとなく、お金を払う側に優越感があり「買ってやる」から多少の我がままは許される、という風潮があるのも事実だろう。資本主義であり自由競争であるのだから、売る側と買う側が存在するのは当たり前である。買う側には「選ぶ権利」があり、恐らくこれがお客(カスタマー)に優越感を抱かせるに違いない。買う側が選ぶものが多ければ多いほど(=これが平和ということ?)、科学や経済が発展している指標になるのだから、これはもう文明社会(文明人)が抱える闇の部分かもしれない。
しかし、少し考えればわかることだが、自由主義経済なのだから、物やサービスが売れ、それが対価・報酬・給料となって個人の財布(生活)が潤い、そのお金で物やサービスを買って消費する、という経済循環が基本だ。分かりやすく言えば(大手ビールメーカーに勤めているとすれば)自分の会社が材料を仕入れて(買って)作ったビールを、居酒屋が仕入れ、それをサービスと共にお客に売っているから自分の給料になっている、ということだ。この時点で、今自分が「お客」として優越感に浸っているそのお店は「自分の会社のお客様」でもあるのだ。これを、様々な原材料や電気、ガス、水、それらを供給するサービスにまで分解して考えれば、今自分が優位に立っていじめている相手も、自分の「お客様」であるかもしれないわけだ。
つまりは同じ経済循環社会の中で売ったり、買ったりしているから自分が生きていられる訳で、「お互い様」でしかなく、どちらかが偉いわけではないのだ。「お金を払う側」というだけで、自分の能力でもなんでもないのに、少し高い踏み台に載ったようなつもりでサービスを提供する側をいじめる・・・なんと了見の狭い小さき人間であることか・・・
なにが言いたいか・・・「サービス過剰」などではなく、個人の「人間性」の問題でしかない、と言いたい。今自分が生きていられるのは「自分一人の力ではない」という単純なことが、自分の腹に落ちているかどうかということだ。
突き詰めれば、いじめや差別、格差、モラルの荒廃、倫理・道徳の荒廃などともその根っこを同じくする、最も大きな社会問題であると思う。
日本人として誇るべき「おもてなし」の文化が「サービス過剰」なんていう俗語に喰われてしまわないように祈りたい。【画像は同様の主旨のネット記事より転載です】