【想像力を働かせ、思いを寄せる】「思いやり」と言われますが、人間、自分がその立場にならなければ解らないものです。時間に追われ、お金に追われ、(自分たちで招いた)様々な事件や災害に追われ・・・現代人は、更にさらに、「思いやり」から遠ざかろうとしています。
今朝、バスを降り駅に向かう私の前を白杖をついた中年の男性(おそらく通勤途中)が慣れた様子で歩いていた。千葉駅は改札のある3階の高さまでエスカレータなどで上がらなければならない。エスカレータの手前で何気なく追い越そうとしたが、はっとしてそれを止めた。私が追い越しざま、もし白杖にでも触れ、男性の五感による判断に多少なりの影響でもあったらいけない・・・。目が見える人とさほど違わない歩きだが、私はその男性の後を歩いた。男性は白杖でエスカレータ乗り口左側の足元の壁を巧みに叩いて、スムーズに歩を進めてステップに乗り込んだ。今度は、どうやって降りるタイミングを感じ取るのか、と見ていたら、やはり白杖を使い、前の段との段差が次第に少なくなる(最後は段差がなくなり平らになる)ところを感じとっているらしい。まるで完全に見えているようにエスカレーターから3階のフロアーにスムーズに一歩を踏み出し、改札に向かって歩き始めた。
私がもし目が見えなかったら・・・と、途中で少し目を閉じてみたが、エスカレータでは手すりがなければ立ってさえいられないほど・・・ましてや、そのまま街を歩くなど・・・。
私は自分のことで精いっぱいで、他のことなどなかなか考えられない。しかし、このようにふとしたことで、自分の視野の狭さが情けなくなるのです(;;)